北千住奇想曲
突然の事に戸惑いを隠せなかったぼくと社長だったが、生き生きとしたあさみさんを見て嬉しい気持ちと興味もあってすぐさま質問攻めに転じた。

「なんでまた仕事中は喋らないキャラを演じてるの」

社長が口火を切る。

「いやあ、お喋りってさっきは言ったんですが、結構言葉遣いがなってないんですよねー。もともとそれが原因で前のとこ出てきたみたいなとこもあってー。語尾とか気がつくと伸ばしちゃう癖も・・・あるんです、よ」

ぼくはアレッ?と引っかかりを覚えた。

「あさみさんって前は学生でしたよね?」
「そうそう、大学です。あ、なるほど。補足しますねー。院生だったんですよー。で、その後も大学に残ろうかなーって思ってたんですけど、まあこんなん喋り方ですし、性格もこんなんなんでねー」

あさみさんは素だとこんな感じなのか。

「大学でちょうど不祥事なんかもあって、馬があってた教授が辞めて、反りが合わない准教授が教授になったりで、そいつと口論の末に飛び出した感じですねー」
一息でよくもここまで話が出来るものだ。

社長はすっかりあさみさんを気にいったようだ。

「大学では何を専攻してたの?」

「心理学ですねー」

「それで印象操作がうまかったのか」

社長は楽しそうだ。
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