北千住奇想曲
あさみさんには少しばかりソフトに状況を伝えたが、結果的には燃料を投下しただけだったようだ。

「ヤマダくん、浮気してんじゃないのー？｣

ぼくは断固否定するが、彼女はさらに責め立てるように言う。

「だいたいね、そうやって否定するケースは浮気してるんだよね。アタシの研究では48％は浮気だった｣

根拠は定かでないが、自信満々な態度のあさみさん。

「昨日とかだって電車がなくなったとか言ってたけど、彼女以外の人のとこにお邪魔してたりしてたんじゃないのー？｣

そう言われて、ふと谷沢藍の事が頭に浮かんだ。
その様子を見て、あさみさんは追い打ちをかける。

「ヤマダくん、いま視線を左にむけてたよね？思いあたるふし有りね｣

社長は、完全に外野として楽しんでいるようだ。

「おー、いいなーヤマダはー。で、どんな女の子なんだ？｣

「社長命令じゃあ仕方ないですねー。全部吐いて楽になっちゃえばいいんじゃないー？｣

面倒だが簡単に昨日の事を話した。
同級生と偶然会って、愚痴を聞いてあげた。

ただ、それだけの事だ。
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