北千住奇想曲
目の前には笑顔の谷沢藍。
卒業してから3年近く経つ。
でも、良い意味で変わっていない。

「びっくりさせるつもりが、逆にびっくりさせられるなんてなぁ」
つぶやくように言い放ち、にこっと笑う彼女。


「ひさしぶり」
うん久しぶりだ。
卒業後に一度だけ同窓会で顔を合わせたきりだ。

「なんだか不思議だね、ヤマダくんと偶然こんな時間にこんな場所で」

「しかもこんなシチュエーションでな」

ぼくは相変わらず彼女の目を見れないままに言った。
魔力は健在、いやすでに呪いの域か?

「ところでさ、なんでまたこんなところでぼーっとしてたの?」

電車がなくなり、所持金もなく、寒さ凌ぎの場所を求めていたことをかいつまんで説明する。

「そんで最後にマッサージお姉さん谷沢が登場して今に至る、ってわけだよ」
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