北千住奇想曲

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あさみさんが言う彼女の問題について、帰宅途中の電車の中で考えてみた。
無邪気な谷沢藍の笑顔が思い浮かぶが、その裏に何か問題を抱えている。

彼女自身は屈折していないが、光を当てると屈折する。それって結局、本体に問題があるからで屈折しているのは本体自身なんじゃないかって気がしてしまう。

そう考えると谷沢藍自身が家族との軋轢や彼氏の関係悪化によって高校の頃とは違って、性格が曲がってしまって、人のいう事に耳を貸さず、独善的に偽善的にものを考える性格の悪い女、という方がわかりやすい。

でも・・・。
実際に再会して数時間会話しただけで何がわかるでもないだろうけれど、ぼくには彼女がそのように変わってしまったようには思えなかったし、思いたくもなかった。

あの頃、彼女に感じていた好意の欠片は今も変わらずぼくの心の中にあるし、今の彼女に対しても同じように感じていたのだと思う。


彼女が抱える問題が何なのか。
それは彼女に関わるのであれば避けられないものなのだろう。

ぼくは彼女に対して好意の欠片を今も持っているし、あさみさんが言うようにもし彼女が助けを必要としている状況なのであれば救いの手を差し伸べる事も厭わない。

例え、か細くて頼りない手だとしても、誰の手も差し伸べられない事に比べれば彼女にとっては大きな救いの手になるのかもしれない。


タクシー代を返そう。
そして彼女と再び会って話を聞いてみよう。

そんな気持ちでぼくは教えてもらったばかりの彼女のメールアドレス宛にメールを打つことにした。
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