北千住奇想曲
やれやれ。
仕方なく彼女らに歩み寄った。

「ヤマダくん、この子は地元仲間のりりちゃん。高校の時によく遊んでたんだー」

ぼくはりりちゃんに「ども」と軽い挨拶。
りりちゃんは可愛らしい小柄な女の子で、高校生くらいに見えた。黒地でフロントにノキアの携帯がかかれたロンTにジーンズというシンプルな服装で髪は頭頂部で一つにまとめた引っ詰め髪。きょとんとした目が小動物を思わせる。

「ヤマダくんは高校の同級生でさ、今日は借金返済してくれるって言うんで待ち合わせしてんだ」

りりちゃんはクスッと笑う。

「藍さんは相変わらずだよね」

「なあにそれ?成長してないってこと?」

拗ねた素振りで谷沢藍は言った。

「違う違う。良い意味でだよ」

「まさか高校生に子供扱いされるとは…」

ガックリと肩を落とす21歳女子。

見た目通りに高校生だった事には少し驚いた。
立ち振る舞いも谷沢藍よりりりちゃんの方がよっぽど大人びた落ち着きがある。
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