北千住奇想曲
それはその、極めて性的な嫌がらせとか、もしくは集団での…。
あの時の記憶を辿る。谷沢藍の様子、服装とか何かしら暴行などの形跡は無かっただろうか。
泣いているという事だけで、ぼくはびっくりしてしまい、そんなところには気がつかなかった。

谷沢藍はそれきり押し黙った。
その様子を見て、ぼくは更に聞いてはいけないことを聞いてしまったという罪悪感に苛まれる。

しかし、谷沢藍は気がつくとぼくの様子を訝しげな顔で見ている。

「あのさ。何かすごい勘違いをしていないかな?そんな顔をするほど深刻な話じゃないよ?そりゃあ、泣くくらいだからわたしに取っては深刻な話だったわけだけどさ」

あれ?違うのか…。
自分の妄想がだいぶ的外れだった事を指摘されたようで恥ずかしさで顔に血が上るのを感じた。

「ヤマダくーん。もしかして、なんかエッチな感じの事を考えてなかったー?男だな。ヤマダくんも」

「いや…。そんな事は…ない…」

明らかにビンゴ、と言っているようなものだったが、正常な発生が出来ないほどの恥ずかしさ。
< 52 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop