北千住奇想曲
恥は存分にかいた。怖いものは何もない。勢いでぼくは訊く。

「昨日もヒミツのバイトだったよな。結局、何のバイトなんだ?」

谷沢藍は答えない。視線は宙をさまよっていれる。

「ヒミツ・・・」

「まあ、言いたくないなら良いけどさ。頻繁に出てくるから気になるんだよな」

まあ、谷沢藍自体が気になっている、という方が正確なわけだが。

「そうだよね。秘密だ、秘密だって言ってれば気になるよね」

しおらしく彼女は言った。

「いや単なる興味だからさ。そんな気にするなって」

しかし、彼女はぎゅっと唇を噛み締めたかて思うと話始めた。

「ヤマダくんに軽蔑されたくなかったんだ。わたし、こんな性格でしょ?だからこの間もポロッといいそうになっちゃったんだよね」

軽蔑?職業に貴賎はないとぼくは思ってるけど。

「一言でいうなら男の人の相手をする仕事…かな」

ある程度は予測してはいたが範囲が広すぎてまた余計な妄想をしてしまいそうになる自分を抑える。
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