北千住奇想曲
「土曜日に彼女とデートしたんです。それなのに前日の女の子の事ばっかり考えちゃって、それで喧嘩というか冷却期間をおく事になったんです」

アサミさんはふーんと言って、届けられたばかりのビールをグビグビと流し込んだ。

「しばらく会わないでいましょう、みたいな感じ?」
「まさしくその通りです」

アサミさんはなかなか鋭い。これも研究の成果なのだろうか。

「まったくダメ男なんだから」

そう言うとお通しの枝豆をつまんでモグモグと食べた。

「返す言葉もないです」

それでも、こうして責められている方が一人で過ごした日曜日よりはよっぽど良かった。

「あのね、ヤマダくん。勘違いしないで欲しいんだけどさ。あなた、そんな風に彼女に言われて『はい』で済ましちゃったんでしょう?」

さらにアサミさんの言葉がきつくなった。
ぼくは黙って頷く。

「それがダメ男なの」
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