北千住奇想曲
「眠れなければテレビでも見てていいよ。マンガも彼のがそこの本棚にあるからご自由に。あと、冷蔵庫はここだから喉乾いたら勝手に飲んでてね。トイレは玄関口の手前左側。右は寝室だからそこだけは入っちゃ駄目だよ」

早口に言うと谷沢藍は脱衣場に消えて行った。

姿が消えるとぼくは少しは冷静になれたようだ。
あまり意識していなかったこの家の間取りもようやく認識できた。
1LDKだ。
築年数もさほど経っていないように思える。
家具、インテリアのセンスも良い。
何より綺麗に整理され、掃除されている。

ぼくは周囲の観察と考察に飽きると先ほどまで彼女が読んでいた本を手に取った。
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