北千住奇想曲

4

午前三時。
リビングの壁掛け時計をチラリと見る。

「もう寝ないとね」

谷沢藍は僕が時計に視線を走らせた事に気が付いて言った。

「まだ週始めだし」

感覚をあけて呟くように続けた。

確かに眠い。
でも、心拍数が上がり、その音がぼくの本能的な欲求を邪魔する。

「眠いんだけどさ。眠れるか微妙な感じ」

ぼくがそう言うと谷沢藍も同調する。

「わたしも。今日・・・、もう昨日か。いろいろあったから気持ちが高ぶってるのかも」

そういうとリビングの端に向かって歩き、リモコンを手にして戻ってきた。

「ヤマダくんはソファで寝てね。わたしはここ」

ソファの足元にクッションを置きながら言う。

「ここで寝るの?」

当然、寝室で寝るものだと思っていた。
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