北千住奇想曲
人様の彼氏を捕まえて「極悪人」はない。
でも、彼女自身も思っていることなら仕方がないが、なんだかそれもあんまりだ。
少しはフォローを試みてみる。

「いやでもサングラスを外すときっと・・・。きっとあれでしょ。キレイな瞳でさ。その瞳を隠す為のサングラ・・・」
それを遮るように彼女は言う。

「いや、そんな事ない。外すともっと大変だよ」

「え、そうなの?」

「そうよ。あれはファッションではないの。彼本来の極悪人ツラを抑えこむためのカモフラージュなのよ」
なんだかどこかで聞いた様なフレーズだ。

「なるほど。で、何している人なの?」

「中古自動車屋をやってるの。外車とか扱ってる」

「へーーー」

「まあ、お客さんも彼と同じ外見の人が多いみたいね。聞いた感じ」

なんだか彼の話はこれくらいでお腹が一杯になってきた。
これ以上は止めて置こう、そんな気持ちがぼくの中を支配する。
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