北千住奇想曲
そんな夢から覚めた。


少しばかり期待していたが、ぼくはただ1人、ソファで横になっていただけだった。
足元に居たはずの谷沢藍の姿はそこにはなかった。
落ちつかないので、寝室に行ってしまったのだろう。
リビングの時計を見ると6時半。
一旦自宅に戻って、着替えてから出社するにはちょうど良い時間だった。

ぼくはタオルケットをたたみ、彼氏のTシャツをスウェットを脱いで綺麗にたたんだ。
そして、洗面所で顔を洗い、寝癖を水で少しだけ直すと寝室のドアをノックした。

しかし、まったく物音一つしない。
仕方なく、玄関口に置いてあった部屋のキーを手にすると谷沢藍の家を出て鍵を閉めた。
鍵は、そのままドアにあるポストから玄関口に落としておいた。
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