北千住奇想曲
あれから、谷沢藍には一度だけメールがきた。

ぼくがあの家を出る時に送ったメールへの返信だ。

彼女にしては珍しく、半日後に届いた。内容は至って普通、いやむしろいつもよりもそっけないくらいに感じた。

―――――――――
件名:ごめん
本文:
朝、起きれなくてごめんね

また、機会があれば
―――――――――

何だろう?
少しよそよそしさを感じる。

ぼくは即彼女にメールを返した。

ぜひ、近いうちに会いたい。滞在中に粗相がなくて良かった。
そんな内容だ。

しかし、これ以降は彼女からの返信はなかった。
もしかするとバイトのゴタゴタもあって大変なのかもしれない。
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