おかしな国の住人たち
「ええ、そうね赤ずきん。ところであなたに頼みたいことがあるの」
「なあに、母さん」
赤ずきんが首を傾げます。
するとお母さんはどこから取り出したのかカゴを赤ずきんに渡しました。
「これを森のおばあちゃんのところに持っていってあげてちょうだい。病気で寝込んでるらしいから。行ってくれるわよね?」
お母さんは有無を言わせぬ笑顔で言いました。
お母さんは実は典型的な二重人格のAB型だったのです。
赤ずきんに断る義務もなく、
「え、ええ…」と顔をひきつりながら答えました。
「じゃあよろしくね」
お母さんは笑顔で手をふりました。
そんなお母さんに見送られながら赤ずきんはしぶしぶ森の中へ入っていきました。
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