おかしな国の住人たち
ある秋の日。キリギリスはいつものお散歩コースを歩いていました。
もとの顔がしかめっ面(とあっても虫に顔は関係ない)なので通りすがりの虫たちもキリギリスに近づこうとしませんでした。
「はぁ……」と悲しそうな顔をしてうつむきながら歩いていると前にいた何か真っ黒いものにぶつかりました。
キリギリスは倒れてしまいました。
「あっごめんなさい…」
前にいたのは一匹のアリでした。
キリギリスはその彼女を見た瞬間にときめいてしまいました。
大きなお尻、真っ黒いきれいな体。そして可愛らしい顔(虫に顔は関係ない)。
そう、この瞬間キリギリスは恋に落ちたのです。
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