ヤクザと執事と私 【1の残り】
「俺は、お前らを信じてたぞ!」
ポチがイスから立ち上がり、サルとキジの前に歩いてきた。
「あれ?アニキ、何でここにいるんですか?」
サルとキジが不思議そうな顔。
「ああ、ちょっと小夜兄さんに重要な用事があってな。」
どこか偉そうなポチ。
(そもそも重要な用事って何よ!)
サルとキジの手前、あえてポチには言わず、心の中にしまっておく。
「へェ~」
ポチの言う重要な用事にまったくの興味を示さないサルとキジ。
「・・・チッ、まぁいい。それよりも、せっかく見舞いに来てくれたのに、病室に居なくて悪かったな。それで俺へのお土産は?」
笑顔でサルとキジに両手を差し出すポチ。
「・・・お土産・・・ですか?」
「そう、当然、見舞いの品は持ってきたんだろ?」
サルとキジは顔を見合わせ、小声で何か話しあっている。
そこにサブも加わり、3人で話はじめた。
少しして、話がまとまったのか、サブが代表でポチの前にでる。
「これで。」
サブの手には、袋の開いたスルメがあった。
誰が見ても、あきらかに食べかけの物。