ヤクザと執事と私 【1の残り】
「何、これ?」
「見舞いの品。」
サブとサルとキジの満面の笑み。
「・・・冗談だよね。」
「ううん。本気。」
「・・・何だよ!見舞いに来たんじゃないのかよ!」
再び号泣のポチ。
「だって、忘れてたんだからしょうがないよ。」
「そうですよ、アニキ。アニキが入院してることすっかり忘れてて。」
「アニキが入院してるって毎日連絡してくれないと忘れますよ、そりゃ。」
サブとサルとキジが口々に泣いているポチに言いたい放題。
「・・・アッシなんて・・・アッシなんて・・・びええええええええん。」
変な泣き声を流しながら、ポチは、部屋のベットに泣き崩れる。
「・・・あの・・・ポチさん。」
私がポチに優しく話しかける。
「・・・ヒック、ヒック・・・な、何ですか・・・小夜兄さん。」
「あの、・・・・ベットが汚れるから、そこで泣かないでもらえない?」
「・・・うわ~ん。」
ポチは私の一言で、おじさんとは思えない声を上げて部屋を飛び出していった。
「あ、アニキ~。」
サルとキジがポチの後を追いかけて部屋を飛び出す。
「スルメ忘れてますよ~・・・」
サルとキジの心無い一言が病院の廊下に響き渡った。