ヤクザと執事と私 【1の残り】
「ねぇ~、私と遊ぶ?」
私の目の前まで来て、女の子は初めて口を開いた。
流暢な日本語。
「遊ぶ?」
私は、女の子の言葉で、入院している女の子がどこかから入り込んできたのだと判断した。
「う~ん、遊んであげたいけど、今は深夜だから、だめだよ。また、明日の昼にでもおいで。その時、遊んであげるから。」
私は女の子に言い聞かせるように笑顔で語りかける。
「え~・・・明日ぁ~」
「そう、明日ね。」
嫌そうな顔をする女の子に言い聞かせる。
「・・・でも、明日、世界の終わりが来たら、どうするの?」
「・・・世界の終わり?」
急に変な事を言い出した女の子に驚く私。
「そう、世界の終わり。」
「・・・大丈夫だよ。急に世界の終わりなんてこないよ。」
私は、笑いながら答えた。
「・・・それじゃ、もし、明日が世界の終わりなら、どうする?」
真剣な表情の女の子。
「・・・そうだね。・・・たとえ、明日が世界の終わりでも、今を一生懸命生きるしか私にはできないかな。」
「・・・ふ~ん・・・。」
何か考え込む様子で女の子は、私の周りを回り始めた。