ヤクザと執事と私 【1の残り】
サブが、迷っている事が見て取れる。
サブは、私か真木ヒナタかの選択を迫られていた。
そして、私もそれは同様だった。
「サブさん・・・あとは、お願いしますね。」
私は決断した。
「小夜・・・。」
サブは、私に何て言っていいかわからない状態。
真木さんを見殺しにできるか否か・・・答えはわかっていた。
私は、ゆっくりと、寝ている真木ヒナタの側にいる少女の下へと歩みを進める。
「そこまでです。」
病室のドアが内側に思いっきり蹴飛ばされて、破壊される。
そして、その破片が、倒れているポチの頭部を直撃する。
「グエッ!」
一瞬、倒れているポチが変な声を上げた。
(よかった、ポチさん、生きてる。)
その様子を見て、安心する私。
そして、病室の入り口を見ると、そこには執事と組長が颯爽と立っていた。
しかし、その執事と組長を見るために振り返ったのがいけなかった。
私は、背中側から頭に冷たい鉄の塊をゆっくり押しつけられる感覚に気づく。
前に経験のある忘れられない感覚。
「お姉ちゃん、少しでも動くと撃つよ。」
どこまでも明るい少女の声。
ただ、今は、その明るい声は、私にとって恐怖でしかなかった。