好きだけじゃ伝わらない。
story 2
「初めまして、
夏川 愛斗(なつかわ あいと)
といいます。よろしく」
今、私の前にいるのは
新しい担任の先生だ。
運が悪いことに
夏川先生は男だ…。
愛想良く笑いながら
右手を差し出してきた。
握手を求めている。
素直に右手を出せない。
さっきから
少し震えている。
私の代わりに
お母さんが握手をした。
不思議な顔をしていた。
「大川 美依亜です。」
夏川先生と
目が会わせられない。
怖い。
新しい学校についてを
お母さんと一緒に聞いた。
帰り道──。
「美依亜。
何かあったらすぐに
お母さんに言うのよ??」
心配させてる…
「うん」
いたたまれない気持ちになって
頷くことしか出来なかった。