もう1つの予言
靴を履いている途中だった。


ポツ…ポツ…ポツポツ


「おいおい!マジかよ!何で雨が降るんだよ、予報では晴れだって言ってただろ!傘持ってきてないよ!
ハァ~占いなんて期待するもんじゃないよな天気だって外れるし予言だってきっと外れるだろうな」


僕がどうしようもないことにブツブツ文句を言っている時に…僕は彼女に出会った…


「はい!これ!」


いきなり話し掛けられ慌て横を見てみると女の子が立っていた

すらっとした体に小さな顔、長い髪が良く似合っていてとても美人だった。
今でも良く覚えている


でもその時はまだ名前も知らなかった


「えっ……?何が?」


「だから!はい!」


目の前に傘が写る
僕は本当に鈍い人間だった
いや、たぶんその時は彼女の姿に見とれていて他の思考が止まっていたのだと思う


「傘がどうかしたの?」


僕がそう言うと彼女は顔を真っ赤に染めて傘を僕に押し付けてから走って出ていった


「えっ!ちょっと待って…!」

しばらく茫然と立ち尽くしたあと傘の意味に気が付いた。


「あっ!貸してくれたのか!」

その時には雨は止んでいた
でも僕はその一瞬の通り雨に感謝していたんだ


その日ノストラダムスの予言は外れていた。
世の中の人は予言のことなど忘れただ今を生きている。
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