飛翔の月
「我が朱雀家の家督はその神力だけではないぞ。」
と、赤通はおくから黒い漆塗りの朱雀の描かれた箱を持ってきた。
「火鼠の裘(カラゴロモ)じゃ。大切な家宝であり、架倶椰姫や他の四神家との会合の際、必ず身につけなければならぬ。
よいな。」
「はいはい。」
「ほんにわかっておるのやら…。
それより、こんなところでゆっくりしておる場合ではなかろう。」
「は?」
赤魏はなんのことかさっぱり分からなかった。