飛翔の月
「あのさ、」
赤魏は先程の男に言ったことと同じことを聞く。
「そうだなァ…。
頼みたいが、この人数だぞ、行けるのか?」
男は周りをちらっと見た。
大体、百人いるかいないかでかなりの数だ。
「問題ない。」
赤魏は涼しい顔で言う。
「なら、頼む。
…いや、少し待て。
長老様に言ってくる。」
男と長老は話し合い、結局、赤魏に頼むことにした。
赤魏は場所や目印を聞き、力を集中する。
そして次の瞬間、辺りの景色が一気に変化した。
「この辺りなら問題ないだろ?」
赤魏はニッと笑う。
赤魏が移動したのは、荒れ寺からさほど離れていない茂みの中。
向こうからは見にくいだろう。
(ん、あれは…)