飛翔の月
「俺が行こう。」
ある男が名乗り出た。
先程、赤魏と話していた男だった。
「伊気、本気か?」
男の名はいきというらしい。
長老をはじめとする皆が伊気を心配そうに見る。
「俺はこいつが嘘ついてるように思えねんだ。」
伊気は赤魏を見て言う。
「いいのか?」
提案したのは自分なのに、少し後ろめたくなった。
「いい。
それに、最後は無事に送ってくれるんだろ?」
伊気がニヤッと笑うと、赤魏も笑い返す。
「当然。
アンタの命、しばらく預かるぜ。」
赤魏は伊気と共に、盗賊達を追った。