飛翔の月
明るくなっても盗賊達は休むことなく南へ進む。
町が無いため、人目を気にすることもない。
初めはさっさと捕らえて奉行所に突き出そうかと思ったが、城下に向かうとすれば、警備の厳しい城下の関所を越えるために仲間と落ち合うかもしれない、だから、どうせならまとめてのほうが良い。
ここは、しばらく泳がせるのが得策。
「…至炎。」
「ああ、わかってる。」
もう、お天道様は高く昇り、時々、人を見かけるようになった。
そして、赤魏達から少し離れたところに、若い二人の娘と、ガラの悪い盗賊達。
「…まずいな。」
「助けねぇと!」
伊気は今にも飛び出して行きそうだ。
赤魏は片腕を伊気の前に出し、それを止める。
「待て。
俺が行く。」
「だが…」
今度は伊気が赤魏を止めようとするが間に合わず、赤魏は盗賊達に向かって飛び出した。
「伊気、アンタは隠れてなっ!」
赤魏はニヤリと笑い、二人の娘を庇うように立った。