飛翔の月
次は、飛翔之國か流星之國かと、大臣たちの間では引っ切りなしに言われている。
夕暮れ時になり、赤魏が寺から帰ってきた。
赤通は、それを門の内で今か今かと待っていた。
「随分と遅いお帰りだな、赤魏。」
「げっ…。
親父……。」
赤魏が顔をしかめると、すぐ後ろから咳ばらいが聞こえた。
「あ…。」
朧だ。
何が言いたいかは、わかる。
「ち、父上。
何用にごさいましょう。
私はただ、剣術の修行に…。」