戸惑いプリンセス


「安達宏文です。趣味と特技はサッカーで、部活はサッカー部に入ろうと思ってます……」


順番に自己紹介が進む中、和紗はずっと榛原を見ていた。

榛原は教室のドアに背を預けて、気だるそうに自己紹介を聞いている。

時々、生徒の発言に笑いを漏らしながら穏やかな瞳で様子を見つめていた。


「はぁー」


溜め息がでる。


やっぱりこの学校に来ない方が良かったかな?


そっと己に問う。

和紗がこの学校に来たのは、もちろん校風や学校の雰囲気が気に入ったというのもあるが、そもそものきっかけは榛原だった。



和紗にとって榛原は幼なじみでもあり、兄のような存在でもある。

家が隣で小さい頃からよく遊んでいたためか、和紗は榛原のことを家族のように思っていたが、最近になってその気持ちがただの親近感でないことに気がついた。




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