戸惑いプリンセス
「ねぇ。凄く美形じゃない?安斎くん」
「だよね!超タイプなんだけど」
不意に隣から聞こえてきた会話。
和紗は安斎悠壬を睨みつけるのを中断し、隣を見る。
女子二人が頬を朱く染めながら楽しそうに話していた。
なんで?
今や和紗の頭の中は、なんでという言葉で埋め尽くされていた。
あんな態度の男のどこがいいの?
顔が良ければ性格はどうでもいいの?
そう思ったが、さすがに声には出せない。
けれど安斎を格好良いと思っている女子は沢山いるようで、皆が皆うっとりと安斎を見つめている。
男子こそ面白くなさそうにふてくされていたが、女子のほとんどが安斎悠壬に釘付けになっていた。
和紗は釈然としない思いを抱えながら安斎悠壬から視線を外した。