戸惑いプリンセス


「ってことで、うち部活見学行きたいんだけど良い?」

「部活?」

「そっ!もう今日から仮入部が出来るらしいんだ」


急に楽しげな表情になって言う。
飛び跳ねそうな勢いだ。


「うち女子バスケ部に入りたいんだ。ってことで今から見学行ってくるよ!
和紗も行く?」


先程も思ったが、何が"ってこと"なのか分からない。
だが、こんなに嬉しそうな秋を引き止めるのも悪い気がした。


「行ってきていいよ。私は部活に入る気ないから。頑張ってね」

「和紗部活入らないんだ。じゃあ行ってくるよ」

「うん。バイバイ」


手を振って見送ると「気をつけろよ」と返された。


サバサバしてるなぁと和紗は苦笑つつも、そこが秋穂の良い所なのだろう。

自然と笑顔になる。


高校で初めて出来た友達だ。
本心を言うと、もっと話していたかったが秋穂のやりたい事を押し切ってまで引き止めるわけにはいかない。


ただ、やはり和紗はまだ喋り足りず、喋り相手を求めて教室を去った。




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