戸惑いプリンセス
「まあね。久しぶりに啓也と話したいっていうのもあったけど」
「和紗は相変わらずだな」
「何がよ」
相変わらずとは何だと訊くと、啓也は口元を歪めてにやりと笑う。
「その上から目線とか、入学式の日に遅刻するところとかね」
「あれはっ」
言われて和紗は顔が赤くなるのを感じた。
言い返そうと試みたものの全て事実なので返しようがない。
初めは口をぱくぱくとさせていたが、次第に小さく縮こまる。
「遅刻は、その。…ごめんなさい」
目の前の啓也も一応は教師だ。
遅刻でお叱りが無かったことは和紗としては嬉しい限りだったので、素直に謝った。
これから遅刻の話題、何度でも持ち出されそう…。嫌だなぁ。
ぼんやり考えながらも、これを言われたら絶対に勝てないだろうなと、一段と落ち込んだ。