純情ＢＡＢＹ

『は！？マジで言ってんの？ちょっと……美鈴ーーっ』




亜弥の呼び声を背に私は鞄を手に廊下へ飛び出していた。




早く追いかけなきゃ渋谷くん帰っちゃうかもしれないし！




私に男を見る目がないっていうなら、みんなの人気者にアタックすればいい。




この選び方なら失敗なんて絶対にしないでしょ？




うん。私にしては、かなりの名案だ。




渋谷くんが向かった方向へバタバタと足音たてて走った。




廊下の突き当たりを曲がるとお目当ての人物・渋谷くんの後ろ姿を発見した。




猛ダッシュで渋谷くんとの距離を縮めていく。




渋谷くんの２、３メートル後ろまで近寄ってから、勢いよく声をかけた。





「渋谷くんっ！！」




私の声にビクッと肩を揺らして渋谷くんは振り返った。