純情BABY
慌てて廊下へ出たけれど、すでに渋谷の姿はなかった。




「普通カノジョ置いてく!?いや置いていかないでしょうが!」



『ほ、他にもまだ見回りするところあるんだろ?』




怒り心頭に叫んだ私に、怯えた声で昇が言ってきた。



「あ、そ、そーだね。私ったらつい。あははは…」




昇がいたのをすっかり忘れて叫んじゃったよ。恥ずかしー!




これも渋谷がいけないんだ。




まだ生徒会の見回り終わってないなら、そうだと伝えてくれればいいのに!!




昇のフォローで一旦落ち着いた怒りが沸々と沸いてくる。




『ーー約束したんだろ?なら大丈夫だよきっと。靴箱前で待ってれば?そこなら行き違いにならないよ』




私を宥めるように優しい昇の声に、刺々しい気持ちが消えていく。




「昇…」




あんたって本当にいい奴!



今日こうして和解できて昇がいい奴だってわかって嬉しいよ。




「うん、そうだね。ありがと!!」




『たいしたことしてねーよ。じゃあ俺も部室戻るかな。じゃあな』




「バイバイ!」




昇、ホントにありがとね。



心でもう一度言って一緒に教室を出て、昇は部室へ、私は靴箱へと向かった。




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