純情BABY
靴箱で待つこと数分。

待ち人の渋谷が思ってたより早く現れてくれたーーのはいいんだけど。




渋谷の横にピッタリ寄り添う人の姿があって。




それが女の子だということに気づいて、眉間にシワが寄った私に




『松嶋も一緒だから』




「……は?」




渋谷が意味不明なことを言うから、私は教室で発したのと同じ、ううんそれ以上に間抜けな声を出して固まった。



『渋谷くんに生徒会のことで相談したいことがあって、帰り道歩きながら聞いてもらえないかお願いしたの。渋谷くんに聞いてなかったの?』




コテンと首を傾げて言う松嶋さんは女の私から見ても可愛いと思える仕草で私に話しかけてくる。




仕草は可愛らしいんだけどさ?




私を見る目がキツイのは気のせいなんかじゃなさそうだ。




『せっかくの下校中を邪魔しちゃってごめんね?』




なんて口では言っても、全っ然済まなさそうに見えないんですけど?





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