純情ＢＡＢＹ

『昨日の今日でおかしなことになってるね』



頭上から聞こえてきた声にノロノロと顔を上げると。



呆れた顔をした亜弥が私を見下ろしていた。




『で？実際はどうなの？』



「昇とは渋谷を待ってる間ちょっと話しただけだし」



『それだけ？』




「それだけだよ」




なのにどういうわけか、根も葉もない噂が広まってしまってた。




『人気者の渋谷くんと付き合ってるんだもん。どうにかして美里を悪者にして別れさせたいんだろうね』




亜弥の言う通りだと思う。



私と渋谷を別れさせようとする悪意を感じるこの噂にウンザリしちゃう。




『渋谷くんはこの噂についてなんか言ってた？』




「それがね…」




噂を耳にしてまず最初に思ったことは渋谷にだけは誤解されたくないって事だった。



だから。




「噂はデマだからとメールを送信したんだけどさ？」



『渋谷くんは何て？』