純情BABY
「全部私がフラれてるのに、周りは私がヤったら別れてるって思ってるんだ。
なのに噂までたてられて、私に原因あるって責められるなんてヒドイ」




言いながらポロポロと涙が止まらなくなっていく。





『おい、泣くなよ。俺が泣かしてるみたいじゃねーかよ』




泣くなと言われて泣き止めたら苦労しないし、それに泣かしてるみたい、じゃなくて、アンタが私を泣かせたんだよ!




そう怒鳴ってやりたくても、本格的に泣きが入ってしまって、言葉にならない。



ぐずぐず鳴る鼻と嗚咽が混じった自分の声がやけに情けなく聞こえて。




ゴシゴシと制服の袖で目元を拭いてた時だった。





『はぁ。わかったよ。俺がなんとかしてやるから。
ーーだから泣くな』





その言葉が頭上から聞こえて、驚いた私は目元から手を避けた。





「え…な、何?」





入り口近くの壁に寄りかかってたはずが、すぐ目の前にいた事にまた驚いてしまって、


私の顎に手をかけて上を向かせられる行為に、抵抗も出来ずにいた。





そして




眉をひそめて私の顔を見てたかと思うと『……すげー泣き顔だな』と言って、不敵に笑ったその顔に、





泣くのも忘れて釘付けになってしまった。





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