純情BABY
『アンタの汚名は俺が晴らしてやるよ』





言われた言葉が脳に到達して理解するまで時間がかかった。





だってすぐ目の前に整った顔があるんだもん。





切れ長二重の目で私を見つめて話すし、憧れてたキスのシチュエーションの様な自分の状況にドキドキしちゃう。




そんな風に意識を奪われてしまってもしょうがないと思わない?





『聞いてる?』





小首を傾げられて、やっと我にかえった。





「き、聞いてる」





慌てて答えると傾げてた首を元に戻し、そして顎にかけてた手を私の頬に滑らせる。





それだけで体が跳ねるくらい反応してしまった。





暖かい手の感触がとても気持ちいい。





その感触が心地よくて、涙も嘘みたいにピタリと止まった。





『お前は俺の言う通りにしてるだけでいい。そしたら噂も消える』





親指で目の下に残ってた涙を拭き取ってくれる仕草に、優しさみたいなのを感じて思わずきゅんとしてしまう。





『俺の言う通りに、するよな?』





「うん…」






綺麗な顔に見つめられて、そのうえ涙をさりげなく拭われて。




まるでドラマのヒロインになったみたい、なんて完全に今の状況に酔いしれてしまった私は、迷う事なく頷いていた。




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