純情BABY
ぼんやりと顔を見つめながらそんな事を考えていたら、眉間にシワを寄せて睨まれた。





‘さっさと帰り支度すれ!’って視線に慌ててカバンに荷物を詰め込む。





ほんの一瞬だったから周りにはバレてない。





周りから見た彼はあくまでも‘優しくて格好良い優等生の渋谷クン’だ。





だから私も‘怖い顔で睨むな’と文句も言えない。





「お、お待たせ」





立ち上がった私を見て『じゃあ、帰ろうか』と私の手を握った。





途端に至る所から悲鳴が聞こえて。





あちこちから殺気溢れる視線の餌食となる。





学校を出ても背後からキツい視線を感じる。





もしかして





「……ねえ。ひょっとしてつけられてる?」





『みたいだな。ゆっくり話せる場所まで、気抜くなよ?余計なこと言わないように気を付けろよ』





後ろを見れば下手くそな隠れ方をする数人の女子たちの姿。





尾行する人がいるくらい渋谷は人気があったんだと今さらながら実感してしまう。





私、とんでもない人気者に告白しちゃったのね。





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