純情BABY
連れてかれたのは家だった。




どこかファーストフード店でも立ち寄ってお話といきたくても、話を聞かれてしまう可能性がある。





昨日の今日で家に上がるのは躊躇われたけれど、仕方がないと諦めた。





また襲われかけたら頭突きしてやる。





そんな気持ちで渋谷の部屋へと足を踏み入れた。





昨日と何ら変わりない綺麗な部屋。




いつでも逃げられるようにとドアは開けたままでその付近に立っていたら渋谷がそれに気付いてニヤリと笑った。




『何?警戒してんの?とって喰うような真似はしないって今朝言ったろ?』





「べ、別に警戒なんかしてないもんっ。それより噂が消える代わりに女子に目の敵にされそうなんですけど」





『確かに今のお前なら間違いなくそうなるだろうな』





警戒してたことがお見通しで、それを誤魔化すように嫌味っぽく言うと、ベッドに腰かけてブレザーのネクタイを弛めながらあっさりと肯定された。





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