純情BABY
『そうだよね。苛めや嫌がらせなんてするようには見えないね』



笑みを浮かべる渋谷に弁解してた子の頬が染まる。




対してムッとしてしまう私。





ちょっと。どっちの味方しようとしてんの!





渋谷が、閃いたって表情で話し始めたのはそう反論しようと思った時だった。




『そうだ!美鈴が苛められるような事があったら、君たちが俺に知らせてくれないかな?』





『え?』




『もし美鈴が誰かに苛められるような事があるだけでも嫌なのに、その上俺が理由だとしたら、とても耐えられないよ』




戸惑いの声をあげる子をよそに渋谷は続ける。





『だからみんなにも協力してほしいんだ。苛めの事実があったら俺に知らせてくれる?それと美鈴』




「何?」




『どんな些細な事でもいいから、おかしな事があったらすぐに俺に言って』




おかしな事。って?




『物がなくなったとか、押されて転んだとか、そんな事があったら遠慮せずに言ってって事だよ。

そしたら俺からみんなに心当たりはないか聞いてみるからさ』




聞いたってみんな知らんふりするでしょ。
例え知ってたとしても、ね。



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