純情BABY
「そのまんまの意味だよ。今の渋谷の方が話しやすくて断然いい。
自分偽るのって辛くないの?」




『…別に辛くなんてない』




「どうして、優等生装うの?何か理由があるなら聞かせて?」




聞かせてよ。




渋谷の事、もっと知りたいから。




もっと近付きたいから。




だから教えて欲しい。





沈黙が続く中、渋谷はジッと私を見てきた。




その目力の強さにドキッとして少しだけ俯く。




『心配してくれてありがとう』




長く感じた沈黙を破って聞こえたのはそんな言葉だった。





理解したいって思いが通じたんだって、嬉しくなった。





顔をあげると、無表情だった渋谷が、私を見つめながら、笑ってた。




「ーッ」






でもそれは




私が見たかった笑顔じゃなくて、胡散臭いと感じる、顔に貼りつけた笑顔だった。






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