夢物語


「うん・・・」

何で?!
「うん」は言えて、「好き」は言えないの?

言わないと・・・・好きって。
気持ち伝えなくちゃ

松井が帰ろうと自転車のペダルを
こごうとした時

「待って」

・・・やっとでた・・・

キキィ――!

あたしの声で松井がブレーキをかけた。

「何?どうした?」

ドクンッ

今だ。伝えるんだ・・・うちの気持ちを・・・・

「あの・・・ね?」

ドクンッ・・・ドクンッ

いざ言おうとするとすごく恥ずかしい・・・

でも・・・松井はうちの気持ちを知ってる。
だから・・・恥じるコトなんてない。
言うんだ・・・祐乃

「・・・とりあえず、ピタってして?」
あたしの言葉を待っているのか、
自転車にも降りずに
その場でグルグルとまわっている。

グルグルされてたら
気がちっちゃうよ・・・

「ん。」

松井はあたしの言った通りにその場で止まってくれた。

「松井はきっと知ってると思うケド、」

「うん・・・?」

松井・・・笑ってる?
やっぱりこれから言おうとしてるコトわかってるんだ・・・

「みんなが言ってるとーり、うちは・・・
松井のコトが好きなの・・・・」

いえ・・・た・・・・・・・
松井に好きって・・・
ちゃんと言えた



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