【鬼短1.】顔無し鬼
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−"かおなしさま!
あたし、高校受かったよ!
第一志望、特待で!
学費、タダでいいんだよ。
すごくない?
しかもケイタも同高!イェ〜☆
…かおなしさま。今年の冬は寒いね。
花壇、完全に凍ってるよ!
あんなに冷たい土の中で、種ってほんとに生きられるの?
でも確かに春には花が咲くからすごいよねぇ…
冬の間にかおなしさまがくれた種、ちゃんと取ってあるよ。
春になったらまくんだ。
アレ、夏の花ばっかりでしょ?
てゆうか、ヒマワリばっかり。
かおなしさま、ヒマワリ好きなんだね。
趣味が合うね。あたしもだよ。
春生まれだから、もっとこう、優しいかんじの花が似合えばいいのにね。
桜とかチューリップとかって…あたし似合わないんだ!やっぱ肌黒いからかなー
…お母さん、元気かな。
…お父さん、ちゃんと生きてるかな。
かおなしさま。
ばあちゃんがね、スーパーのパートなんか始めたんだ。
あのばあちゃんが、レジ打ちだよ?
似合わない!
…ばあちゃんはやっぱり、もんぺに手ぬぐいにムギワラ帽子だよね!
畑仕事、してほしいな。
あんなに疲れた顔のばあちゃん、見たくないもん。
あたし、高校入ったらバイトする!
部活もやりたいけど…諦める。
その代わり、大学行ってからやるんだ、陸上。
だから、大学行くお金は自分で稼ぐ!!
…これ、ばあちゃんには内緒だからね!
ね。かおなしさま…"