【鬼短1.】顔無し鬼
ななちゃん!ななちゃん!
合格おめでとう。
愛しのケイタくんも一緒なんだ。
よかったね。
おばあちゃん孝行するんだ、って、ななちゃん、勉強頑張ったものね。
部活の集大成は、県大会入賞!
そこから、きみは今度は勉強まで頑張った。
すごいね。
おかあさん、どこかでななちゃんの幸せを願ってるよ!
おとうさんも、大丈夫!なにしろ行動力はきみそっくりだから。
ヒトは結構、頑丈だよ。
おばあちゃん。
おかあさんがいなくなったあの次の日から、一度もお話ししてくれない。
でも、仕方がないよ。
きみを守るためだもの。
おばあちゃんがわたしなんかにかまけて、ななちゃんが不幸になったらいけないからね。
また畑をやってほしいね。
日焼けした、ピカピカの笑顔のおばあちゃん、また見たいね。
ななちゃん。
わたしがヒマワリが好きになったのはね。
きみに一番似合う花だから。
きみは春の盛りにわたしと初めて会った。
その頃のきみも、もちろん可憐できれいだった。
だけど、きみに似合うのは夏の花だね。
ヒマワリにダリヤに朝顔、…
華やかな色の、大きな花。
ヒマワリのごとく強く
明るく
咲き誇ってほしい。
ななちゃん。