残響∮
少年は周りに誰もいないのを確認すると、手を口から離した。

そういえば、この少年からは心の声が聞こえない。


「何?」


「君をここから救い出してあげる。」


「はぁっ!?何それ?」

少年は真剣な顔だ。
「僕は中宮蒼(ヘキ)だ。」


「だから何?」


ブーッ、ブーッ、
携帯のバイブ音が聞こえた。

少年はズボンのポケットから携帯を取り出し
「はい。そうか、わかった。今行く。」

「じゃあね、また会えるよ。」


そう言って、中宮碧は目の前から急に消えた。


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