愛してほしい。~ホストのリアル~
灰皿は、吸殻が二本たまったらすぐに交換。


客に灰が飛んでしまわないように、吸殻が入っている灰皿の上に新しい灰皿を重ねて一旦手元へ下げ、その後で新しい灰皿を差し出す。


「とにかく、日常生活では絶対に味わうことがないくらい、姫扱いしてやればいいんだよ」


少し苦笑いを浮かべた代表は、そう言って高そうなスーツの胸ポケットから煙草を取り出し、一本咥えて火を点けた。


「姫扱い……ですか?」

「あぁ。ホストクラブに来るのは、優しさに飢えた寂しい女ばっかなんだ。一部を省いて」

「一部?」

「金持ちな女が暇つぶしの為に来ることもある。そういう女は、男の優しさに癒されに来てるわけじゃない」
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