愛してほしい。~ホストのリアル~
その視線は橋の上を行き交う人達に向けられていて、


「美咲。あの二人組に声掛けておいで」

一点を捉え、そんな指示を紡ぎ出す。


「どの二人組ですか?」

言いながら、俺は流星さんの視線の先を辿った。


「長身の女と小さい女の二人組だよ。キャバ嬢ぽいのがこっちに歩いてきてる」

「……あ、いますね。でも、何て声掛けたらいいんすか?」

「二時間千円の飲み放題っていうシステムさえ伝えればいいから、あとはお前の即興で。ほら、行ってこい!」

流星さんに笑って背中を押された俺は、体がよろけて、足を前に二歩踏み出した。


そしてその勢いのまま、流星さんが指示した二人組に駆け寄り、声を掛けた。
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