愛してほしい。~ホストのリアル~
裕福な家庭で親のスネをかじって暮らして、挫折なんて味わうことなく平凡な大学へ進学。


平凡な道を選んだ俺に訪れたのは、平凡な幸せで彩られた、ごくごく普通のキャンパスライフ。


それに不満なんてなかった。
不自由もなかった。


でも、ある日突然……本当に唐突に、敷かれたレールの上を歩く人生に憤り《いきどおり》を感じてしまい、大学を中退した。


そして、バッグ一つで家を飛び出し、一週間。

たまたま手に取った求人誌で、俺は「ホスト」という職業に出会った。


親父のおかげで夜の世界に偏見はなく、躊躇いや不安なんてものも湧いて来ず、「俺なら絶対に売れる」――そんな自信に押されて、あっさりとホストになる人生を選んだ。
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