愛してほしい。~ホストのリアル~
「いやぁ、ごめんごめん。アイツが遅刻すんの珍しいからさ」

言いながら、店の奥に行こうとしていた足を戻し、再び長ソファに腰をおろす代表。


「流星が来るまでに基礎だけ教えとくよ。ほら、座って」

「はい」


俺は長ソファではなく、通路側に置かれている丸椅子に座って背筋をピンと張る。


代表が内勤の男に向かって「セットと焼酎持ってきて」と指示を出すと、すぐに氷入りのアイスペールとグラスと水、焼酎が運ばれてきた。


「まぁ、難しいことは何もない。客に酒の割合を聞いて、グラスいっぱいに氷を入れてその通りに作ればいい」


カラン、カランと、代表は手際良くグラスに氷を入れ、焼酎を半分まで注ぎ、そこに水を足す。
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