この先ずっと
自転車で駅にむかう。
小雨に濡れながら駅に着き、
人込みの中を
無駄にゆっくり歩く。


ようやく電車にのり、
ドアに一番近いとこの席をみる。



ユリはいつもこの席に座る。


しかし今日は
いつもより何本も遅い電車に乗ったからか、
その席は既に
薄茶色のおじいさんが座っていた。

隣の車両も、その隣も・・・



すべての車両の
ユリの指定席は、
きれいに埋まっていた。


車内はがらがらにすいている。

端の席を好む人は多いだろう。

ユリもそれを
分かっていながらも、
イライラしていた。




仕方なく長椅子の
中央あたりに座って
頭を下げ、
鼓膜をふさいだ。

向かいのカップルが
コソコソうるさかったが、
聞こえないフリをした。
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