キミは聞こえる

「お、おじさん!」

 泉が駆け寄ると同時、救急車のサイレンが代谷家の前で止まった。
 玄関のドアが開き奥から担架を持った隊員が数名家に入ってくる。


 外に出ると救急車の音に何事かと出てきた近所連中が家の周りにぽつぽつと集まってきていた。

「家のこと、お願いね泉ちゃん。お義母さんとお父さんには連絡しておいたけど、お義母さんはまっすぐ病院に来るって言ってたから」
「わかった。―――私も、一緒に行こうか?」

 全身を震わせる友香の母につい訊いてしまった。泉自身、着いていきたい気持ちも確かにあったし。
 すると友香の母は意外にもしっかりと首を振って「泉ちゃんは家を頼むわね」と気丈なセリフを言い置くと救急車に同乗していった。


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